日経サイエンス  2021年7月号

特集:太陽系誕生の謎を探る

 探査機「はやぶさ2」の地球帰還から約半年,小惑星「リュウグウ」のサンプル分析がいよいよ本格的に始まる。太陽系の誕生と進化,生命の起源の解明に期待がかかる。特に隕石学者が注目するのは惑星形成のタネになったとの説もある微小な球状粒子「コンドリュール」。地球上の岩石には見られないが,大部分の隕石には多数含まれ,発見から2世紀を経た現在も成因がわかっていない。その形成プロセスを理解すれば,太陽系最初期のことが明らかになる可能性がある。リュウグウに着陸した小型機が顕微鏡で岩塊表面を観察したところ,コンドリュールとも解釈できなくもない斑点模様が確認された。サンプルは国際チームが様々な手法で分析するが,コンドリュールは注目テーマの1つだ。

惑星の種 コンドリュール  J. オカラガン
はやぶさ2計画 リュウグウのサンプルから原始太陽系に迫る
   中島林彦 協力:橘 省吾