
国立天文台三鷹キャンパス,退役したカマボコ形の天文ドームを転用した天文機器資料館には明治時代まで遡る歴史的な望遠鏡や観測装置がところ狭しと並べられている(現在はコロナ下で閉館中)。その中で異彩を放っているのが,大きなU字形の架台に武骨な鏡筒を据えた旧ソ連(ソビエト連邦)製の望遠鏡「AFUカメラ」。東西冷戦下の1960年代末,日本に運び込まれ,日ソ共同による人工衛星の追跡観測に活躍した。宇宙時代の初期を代表する天文遺産の1つだ。 (文中敬称略)
再録:別冊日経サイエンス245「天文遺産 宇宙を拓いた日本の天文学者たち」