
多くの集団行動が帰属意識を高めるが,動きを同期した場合は社会的結束が特に強まる。信頼が高まり,寛容になり,痛みの閾値が上がることもある。この現象は神経ホルモンと認知的要因,知覚的要因の組み合わせによって生じるようだ。人間が他者と同期を取る傾向は進化の過程で選択されてきたと考えられる。大勢の人との連帯を可能にし,生き残りに有利に働いたのだろう。
再録:別冊日経サイエンス252『脳科学の最前線 脳を観る 心を探る』
著者
Marta Zaraska
フランスを拠点に活動するフリーランスのサイエンスライター。近著は「Growing Young: How Friendship, Optimism and Kindness Can Help You Live to 100」(ペンギン・ランダムハウス,2020年)。本誌には「温暖化で小さくなる動物」(日経サイエンス2018年11月号)を執筆。
関連記事
「ダンスの進化 人はなぜ踊るようになったのか」,T. シンガー,日経サイエンス2017年11月号。
原題名
All Together Now(SCIENTIFIC AMERICAN October 2020)