
メーカーの技術者から転身した異色の天文学者
分子を調べ彗星の誕生する場所を決めるなど世界的成果を連発
彗星と新星を研究することで太陽系誕生の謎に迫ろうとしている
夜空に長い尾を引く彗星は,太陽系が誕生した頃の物質や環境を収めたタイムカプセルだ。京都産業大学教授の河北秀世は,そんな彗星に魅了され,情報工学の技術者から天文学の研究者へと転身した。学生とともに最先端の分光装置も開発。彗星だけでなく,新星(古典新星)にまで研究の対象を広げる。目指すのは太陽系誕生の秘密の解明だ。 (文中敬称略)
河北秀世(かわきた・ひでよ)
京都産業大学教授。1970年大阪市生まれ。1994年京都大学大学院工学研究科(情報工学)修士課程修了,シャープ入社。1998年ぐんま天文台研究員。2005年京都産業大学講師,准教授を経て2010年より現職。2002年総合研究大学院大学博士(理学)。2004年ゼルドビッチ賞,2015年地球惑星科学振興西田賞。