日経サイエンス  2021年4月号

クジラががんにならないわけ 細胞の裏切りを検知する メカニズム

A. アクティピス(アリゾナ州立大学)

 多細胞生物は細胞が協力し合うことで生きている。しかしがん細胞はその規律を破って自分勝手にふるまい,個体を死に追いやる。クジラやゾウなどの巨大動物は体を構成する細胞が多い分,がん化する細胞も多くなりそうだが,実際にはめったにがんにならない。裏切り者を阻止するシステムが進化を経て強化されているようだ。

著者

Athena Aktipis

アリゾナ州立大学心理学科の准教授。同大学のアリゾナがん進化センターのプロジェクトリーダーおよび複数の機関によるヒト寛容プロジェクトの共同ディレクターを務める。著書に「The Cheating Cell: How Evolution Helps Us Understand and Treat Cancer」(プリンストン大学出版局,2020年)がある。ポッドキャスト「Zombified」の主催者。

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特集:がん免疫療法」,日経サイエンス2016年8月号。がん進化論にもとづく治療戦略 「がん免疫療法の新アプローチ」,J. D. ウォルコック,日経サイエンス2015年1月号。別冊日経サイエンス204『先端医療の挑戦 再生医療,感染症,がん,創薬研究』に収載。がん進化論にもとづく治療戦略 「がん進化論にもとづく治療戦略」,J. デグレゴリ/R. ゲートンビー,日経サイエンス2020年5月号。

原題名

Malignant Cheaters(SCIENTIFIC AMERICAN 2021 January)

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