
COVID-19患者の推定80%が嗅覚障害を起こし,多くは味覚の変化も経験している。患者では鼻腔で匂いの記録を担っている細胞が傷害されている。だが,これがウイルス自体によるのか別の影響によるのかは不明確だ。味覚の喪失が起こる仕組みはさらに不確かだ。感覚異常の多くは自然に治るものの,一部の患者は障害が長期に及ぶ。有効な治療法を探る研究が続いている。
著者
Stephani Sutherland
南カリフォルニアに拠点を置く神経科学者,科学ライター。
関連記事
「免疫系の異様な暴走 肺や血管で何が起きているか」,岩崎明子/ P. ウォン,日経サイエンス2021年3月号。
原題名
How COVID Scrambles the Senses(SCIENTIFIC AMERICAN February 2021)