
新型コロナウイルスや治療法の研究で成果を上げる米名門大学教授
世界で活躍する科学者を夢見て10代で単身留学
果敢な行動力でパンデミックの克服を目指している
岩崎明子は米エール大学で免疫学の研究室を主宰する。「女性が世界に羽ばたく科学者になる道が日本では塞がれているのではないか」。そう考えて高校を中退し単身で海を渡った。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が出現すると直ちに研究室の全資源をこのウイルスの研究に投入。正体の解明や治療法の探索に挑んでいる。(文中敬称略)
岩崎の反応は素早かった。2019年末に中国で未知の感染症の流行が確認された。周囲では「米国は大丈夫」などと楽観論がささやかれる中,「そんなことを言っている場合ではない」と研究室の態勢を2020年初めから大きく変えることを決めた。(続)
再録:別冊日経サイエンス246「感染症Ⅱ 新型コロナと闘う」
再録:別冊日経サイエンス248『科学を仕事にするということ 未来を拓く30人』
岩崎明子(いわさき・あきこ)
米エール大学教授。1970年生まれ。日本の高校を中退してカナダ・トロント高校に転校,トロント大学で免疫学を学び,1998年にトロント大大学院で博士号を取得。米国立衛生研究所(NIH)の研究員を経て,2000年にエール大学助教授。同大准教授を経て2009年から現職。パートナーはエール大の同僚免疫学者。2人の娘がいる。
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「免疫系の異様な暴走 肺や血管で何が起きているか」,岩崎明子/ P. ウォン,日経サイエンス2021年3月号。