
新型コロナウイルスワクチンの臨床試験に必要となる何千人もの被験者を一部でもデジタル版のレプリカに置き換えることができたら,ワクチンの実用化をさらに迅速化して数え切れない命を救えるだろう――コンピューターシミュレーションを活用する「イン・シリコ創薬」はSCIENTIFIC AMERICANが世界経済フォーラムの専門家と協力して選定したエマージングテクノロジーのひとつだ。10選にはこのほか,飛行機の電化や化学物質を生産するエネルギー源に太陽光を直接用いることによって温室効果ガスの排出を削減する技術がある。また「空間コンピューティング」を利用すると,デジタル世界と実世界を統合して,仮想現実を超える世界を作り出せる。量子過程を利用する超高感度のセンサーは,ウエアラブル脳スキャナーや,角を曲がった先まで見通せる自動車といった応用に道を開くだろう。
①マイクロニードル E. オデイ(オラリス)
②太陽光のパワーで化学反応 J. ガルシア・マルティネス(アリカンテ大学=スペイン)
③バーチャル患者
D. E. ウルタド(チリ・カトリック大学)
S. M. ヴェラステグイ(マイクロソフト)
④空間コンピューティング
C. E. レイサン(アンスロ・トロニクス)
G. リン(ジョンズ・ホプキンズ大学)
⑤デジタル医薬 P. M. ドレスワミ(デューク大学)
⑥電気飛行機
K. ハミルトン(クリーンエネルギー&イノベーション・プロジェクト)
T. マ(米国立ローレンス・リバモア研究所)
⑦低炭素セメント M. ディクリスティーナ(ボストン大学)
⑧量子センシング C. ラッティ(マサチューセッツ工科大学)
⑨グリーン水素 J. カーベック(10EQS)
⑩全ゲノム合成
A. ヘッセル(ヒューメイン・ゲノミクス)
S. Y. リー(KAIST =韓国)
原題名
Top 10 Emerging Technologies of 2020(SCIENTIFIC AMERICAN December 2020)
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