日経サイエンス  2021年3月号

フロントランナー挑む 第111回

哲学からゲーム開発まで 世界が注目のAI伝道師:三宅陽一郎

吉川和輝(日本経済新聞編集委員)

ゲームキャラクターが自分で判断して行動するAI技術を開発した
哲学と数学,物理学,電気工学と,多彩な知の遍歴を足場として
学生時代からの夢である「自律的なAI」を実現しようとしている

 

ロールプレイングゲームの「ファイナルファンタジー」シリーズで知られるスクウェア・エニックスのAI(人工知能)開発リーダーで,人工知能学会の理事。大学や一般向けのセミナーでは「AIと哲学」を講義する──。三宅陽一郎は多彩な顔を持つ「AIのエヴァンジェリスト(伝道師)」だ。学生時代からの夢である「自律型AI」をデジタルゲームのキャラクターに重ね合わせつつ,その実現に向けて歩みを進めている。     (文中敬称略)



再録:別冊日経サイエンス248『科学を仕事にするということ 未来を拓く30人』

三宅陽一郎(みやけ・よういちろう)
スクウェア・エニックステクノロジー推進部リードAIリサーチャー。1975年兵庫県生まれ。1999年京都大学総合人間学部卒。大阪大学大学院理学研究科(物理学)修士課程を経て2004年東京大学大学院工学系研究科博士課程(電気工学)を単位取得満期退学。同年ゲーム業界に入りAI開発に従事。2011年スクウェア・エニックスに移る。立教大学大学院特任教授,人工知能学会理事。『人工知能のための哲学塾』(ビー・エヌ・エヌ新社)など著書多数。

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