
痛みから解放される,トンネルの出口に明るい光が見える,自分が肉体から離れて体のうえを浮遊する――死の淵から生還した人が報告する奇妙な臨死体験には多くの共通点があるうえ,リアルな体験として後々まで鮮明に記憶されている。作り話として切り捨てるのではなく,科学的に研究する価値があるだろう。臨死体験は極限状態における脳の働きを物語っている可能性がある。
再録:別冊日経サイエンス252『脳科学の最前線 脳を観る 心を探る』
著者
Christof Koch
シアトルにあるアレン脳科学研究所でマインドスコープ・プログラムの首席科学者を務めている。著書に「The Feeling of Life Itself—Why Consciousness Is Widespread but Can’t Be Computed」など。SCIENTIFIC AMERICANの編集顧問でもある。
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「生と死の境界を考える」,C. コッホ,日経サイエンス2020年5月号。
原題名
Tales of the Dying Brain(SCIENTIFIC AMERICAN June 2020)