
世界が注目している情報セキュリティー研究の専門家
指紋の盗撮の可能性を予見し,偽映像を見破る技術をいち早く開発した
独創的なアイデアに基づく研究で安全安心な情報社会の実現を目指す
カメラを向けられても顔が認識されないメガネタイプのバイザーや,パスワード代わりに使う指紋の盗撮・複製を防ぐ特殊シール,さらにはAI(人工知能)が生成した偽映像など「ディープフェイク」を見破る技術……。国立情報学研究所教授で情報セキュリティーを研究する越前功の研究成果はどれも意外性にあふれている。個人情報の詐取やフェイクニュース映像など,人を騙す技術が跋扈する現代。実世界とサイバー空間の両方に目を光らせる越前が打ち出すアイデアに,世界中から関心が集まる。 (文中敬称略)
再録:別冊日経サイエンス248『科学を仕事にするということ 未来を拓く30人』
越前功(えちぜん・いさお)
国立情報学研究所所長補佐・教授。1971年神奈川県生まれ。1995年東京工業大学理学部卒。1997年東工大大学院理工学研究科修士課程修了。1997年から日立製作所システム開発研究所に勤務。2007年に国立情報学研究所に移りコンテンツ科学研究系准教授。2014年から教授。所長補佐,副所長を経て2020年4月から現職。博士(工学)。