日経サイエンス  2020年11月号

特集:暗黒物質の有力候補ステライルニュートリノを追う

動き出した米国の探索実験

W. C. ルイス R. G. ファン・デ・ワーテル(ともに米国立ロスアラモス研究所)

ニュートリノと呼ばれる素粒子には電子型とミュー型,タウ型の3つの種類(フレーバー)があることが知られている。しかし1990年代以降,いくつかの実験で,第4のニュートリノ「ステライル型」の兆候が見つかっている。既知の3種類と違って,放射性元素の崩壊などを起こす「弱い力」すら作用しない粒子だ。素粒子物理学の標準モデルではニュートリノは3種類しかないと想定されているため,ステライル型が存在すれば,標準モデルを超える新領域が開かれるだろう。第4のニュートリノは本当に存在するのか。それを確かめるための実験が米国立ロスアラモス研究所で近く本格的に始まる。

著者

William Charles Louis / Richard G. Van de Water

ルイスは米国立ロスアラモス研究所の物理学者で,米国物理学会と米国科学振興協会(AAAS)のフェロー。ファン・デ・ワーテルは米国立ロスアラモス研究所の物理学者で,米国物理学会のフェロー。

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反物質が消えた謎 米国が挑むDUNE実験」,C. モスコウィッツ,日経サイエンス2017年12月号。

原題名

The Darkest Particles(SCIENTIFIC AMERICAN July 2020)

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