日経サイエンス  2020年11月号

特集:暗黒物質の有力候補 ステライル ニュートリノを追う

編集部

 ニュートリノには電子型とミュー型,タウ型の3つの種類(フレーバー)があることが知られている。しかし1990年代半ば以降,一部の実験で,第4のニュートリノ「ステライル型」の存在を示唆する結果が報告されてきた。既知の3種類と違って,放射性元素の崩壊などを起こす「弱い力」すら作用しない粒子だ。つまり,ステライルニュートリノは重力以外の力が作用しないので,もし存在すれば,暗黒物質の有力候補になる。第4のニュートリノは本当に存在するのか。その確証を得るため,新たな3つの実験が近く始まる。米国立ロスアラモス研究所のCCM実験と米国立フェルミ加速器研究所のSBN実験,日本の大強度陽子加速器施設「J-PARC」で行われるJSNS2実験だ。

動き出した米国の探索実験  W. C. ルイス/R. G. ファン・デ・ワーテル
精密実験で正体を探る  中島林彦 協力:丸山和純

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