日経サイエンス  2020年11月号

特集:アルツハイマー病

なぜ女性に患者が多いのか 更年期に起こる脳の変化

J. ピンコット(フリーライター)

米国では,65歳の女性の5人に1人が亡くなるまでの間にアルツハイマー病を発症するのに対し,同年齢の男性では9人に1人だという。この性差は男女の平均寿命の違いだけでは説明できない。また,アルツハイマー病のリスクを高めるAPOE遺伝子のe4変異体を保有する女性は,同じ変異体を保有する男性よりも若年で発症することも明らかになっている。更年期に女性ホルモンのエストロゲンのレベルが低下することが,女性のアルツハイマー病リスクを高めている可能性がある。

再録:別冊日経サイエンス260『新版 性とジェンダー』
再録:別冊日経サイエンス252『脳科学の最前線 脳を観る 心を探る』

フリーライター。著書に「Do Chocolate Lovers Have Sweeter Babies?: The Surprising Science of Pregnancy」(Simon & Schuster,2011年)などがある。

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遺伝性プリオン病 発症前治療への挑戦」,S. M. バラブ/E. V. ミニケル,日経サイエンス2020年7月号。

原題名

The Menopause Connection

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アルツハイマー病エストロゲンAPOE遺伝子