日経サイエンス  2020年10月号

災害支援が破壊した先住民社会 ニコバル諸島からの報告

A. サイニ(インド工科大学デリー校) S. J. シン(加ウォータールー大学)

史上最悪の被害をもたらした2004年のスマトラ島沖地震。震央に近いニコバル諸島は津波に襲われ壊滅的な被害を受けた。だが不幸はそれだけではない。それまで自給自足の暮らしを楽しんでいた先住民族の文化にそぐわない近代的な支援物資が殺到し,ニコバル人の生活は激変した。消費主義が広がり,うつやアルコール依存症にも悩まされている。

著者

Ajay Saini / Simron J. Singh

サイニはインド工科大学デリー校の助教。遠隔地の先住民族社会を研究対象としている。シンは加オンタリオ州にあるウォータールー大学の准教授。気候変動の脅威にさらされている小島嶼国・区域での持続可能な資源利用を研究している。

関連記事
伝説のアンダマン先住民」,S. ベンカテスバル,日経サイエンス1999年8月号。

原題名

The Aid Tsunami(SCIENTIFIC AMERICAN April 2020)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

スマトラ島沖地震 ニコバル諸島 津波 先住民 被災者支援 より良い復興 BBB