日経サイエンス  2020年10月号

特集:地球人の孤独 フェルミのパラドックス

インフレーション理論から探る地球外生命の存在確率

(日本経済新聞) 協力:戸谷友則(東京大学) 山岸明彦(東京薬科大学)

偶然の化学反応によって生命が誕生する確率を推定したところ,観測可能な宇宙の中には地球にしか生命が存在しない可能性が高いことがわかった。一方,誕生直後に宇宙が急膨張(インフレーション)したと考える現代宇宙論によれば,宇宙は観測可能な範囲よりもはるかに広がっているので,宇宙全体で見れば生命を宿す惑星は無数にあると考えられる。こうした見方に対し,観測可能な宇宙内でも生命にあふれており,太陽系でいえば隣の火星にも存在する可能性が高いと考える研究者も多い。

著者

中島林彦

協力 戸谷友則(とたに・とものり)/山岸明彦(やまぎし・あきひこ)
中島は日本経済新聞記者。戸谷は東京大学教授(大学院理学系研究科天文学専攻)。専門は宇宙論,銀河の形成と進化,超新星やガンマ線バーストなどの高エネルギー天体現象など。一般向け著書に『宇宙の「果て」になにがあるのか』(講談社ブルーバックス,2018年)がある。山岸は東京薬科大学名誉教授で「たんぽぽ計画」の代表。専門は分子生物学。主な研究テーマは生命の初期進化とタンパク質工学。一般向け著書も多く近著は『アストロバイオロジー 地球外生命の可能性』(丸善出版,2016年)。

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生命の陸上起源説」,M. J. ヴァン・クラネンドンクほか,日経サイエンス2018年3月号。

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