
「みんなどこにいるんだろう?」 ノーベル物理学賞を受賞し,理論と実験の両方で並外れた業績を残したフェルミ(Enrico Fermi)は空飛ぶ円盤騒ぎに端を発したランチタイムの雑談でこんな問いを発した。「みんな」とは宇宙人のことだ。フェルミは論理的思考によって,宇宙人がすでに地球を訪れている可能性が高いと推定したのだが,実際には訪れている証拠などないことから,この問いを発した。「フェルミのパラドックス」と後に呼ばれるようになったこの問題は,フェルミが問いを発して70年たった現在も解かれていない。宇宙人とのコンタクトはなぜないのか,そもそも地球外生命は存在するのか。ユニークな2つの新説を紹介する。
なぜ私たちは宇宙人と遭遇しないのか C. シャーフ
インフレーション理論から探る地球外生命の存在確率 中島林彦 協力:戸谷友則/山岸明彦