日経サイエンス  2020年9月号

特集:太平洋に消えた巨大島

編集部

日本の東,1500km沖合の太平洋の海底には,日本よりも面積が大きい台地「シャツキー海台」が広がっている。1億5000万年前に生まれたときにはずっと浅い場所にあり,頂上付近は海面上に顔を出して,火山島として噴煙を上げていた。太平洋の西側にはこうした火山島が数多くあったとみられるが,今はその多くが海中に没し,巨大海台となって静かに眠っている。これらの巨大海台はどのように生まれ,そして沈んだのか。かつて深海掘削船にともに乗り込み,国際チームを率いてシャツキー海台の調査に当たった日米の研究者2人が,海底から掘り出した岩石の調査や,海底に刻まれた古地磁気の記録から浮かび上がったシナリオをそれぞれ語る。また船上での調査の様子と,発見の瞬間を振り返る。

 

 

海底探査が明かす太古のドラマ  佐野貴司
プレートの裂け目から生まれた大地 シャツキー海台  W. W. セーガー