
光の進路が曲がり遠くの星や銀河が変形して見える「重力レンズ効果」
この現象を利用した新しい天文学の誕生に大きく貢献した
重力レンズ効果をもたらすダークマター(暗黒物質)の解明に取り組む
科学研究の世界では思いがけないことが起きる。しかも連鎖的に生じることがある。東京大学大学院理学系研究科助教の大栗真宗と重力レンズ効果の研究の進展はその好例だ。 (文中敬称略)
2013年2月のある日,東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)の特任助教だった大栗は同僚のクインビー(Robert Quimby)から声をかけられた。米ハワイ大学などのパンスターズ(Pan-STARRS)サーベイの研究チームが見つけたばかりの新種の超高輝度超新星PS1-10afxについて,クインビーは疑問を呈した。(続)
大栗真宗(おおぐり・まさむね) 東京大学大学院理学系研究科助教。1978年石川県小松市生まれ。2000年東京大学理学部物理学科卒。2004年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。プリンストン大学,スタンフォード大学,国立天文台を経て2011年東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構特任助教。2013年より現職。2019年3月に第23回日本天文学会林忠四郎賞を受賞。