日経サイエンス  2020年6月号

特集:サイバー戦争

AI時代のサイバー戦争

語り:高倉弘喜(国立情報学研究所) 聞き手:吉川和輝

「近年のサイバー攻撃では,敵はインフラを麻痺させて社会の混乱を起こしたり,金銭目的の標的型のランサムウエアのように明確な目的をもって攻撃を仕掛けてくる。入念に準備をして,システムへの侵入に成功した後もシステム内を長い時間をかけて調べ,本格的な攻撃に取りかかる。攻撃者が最終的に何を狙っているのか,その目的や意図を見極めることが重要だ」

 

サイバーセキュリティーが専門で,全国の国立大学などが参加する「情報セキュリティ運用連携サービス(NII-SOCS)」の運営を担当する高倉弘喜・国立情報学研究所教授は,内外のサイバー防衛の状況を長年観察してきた経験をもとに,サイバー攻撃に対する日本の脆弱性に警鐘を鳴らしてきた。何が懸念されるのか,最近のサイバーセキュリティーをめぐる動向や課題について聞いた。




再録:別冊日経サイエンス251『「戦争」の現在 核兵器・サイバー攻撃・安全保障』

高倉弘喜(たかくら・ひろき)
国立情報学研究所サイバーセキュリティ研究開発センター長。アーキテクチャ科学研究系教授。1995年京都大学大学院工学研究科情報工学専攻博士課程修了。奈良先端科学技術大学院大学助手,京都大学准教授,名古屋大学教授などを経て現職。内閣官房情報セキュリティーセンター,総務省,経済産業省などでサイバーセキュリティーに関する委員会に参加。サイバー攻撃の検知・追跡・対抗策の研究に取り組んでいる。

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