日経サイエンス  2020年6月号

緊急解説

新型コロナウイルス感染症 COVID-19 感染拡大に立ち向かう

出村政彬(編集部)

日本では3月半ばまで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が比較的少なかったが,その後,先に感染拡大が起きた海外からの帰国者が増え,同月下旬から本格的な流行が始まった。4月7日には政府が首都圏を中心とする7都府県に「緊急事態宣言」を出し,最も患者が多い東京都は遊興施設や学校などに休業を要請した。人と人との接触を8割減らすことで,感染の拡大を抑え込むのが目的だ。本稿を書いている4月15日現在,狙い通りに新規感染者が減るかどうか,私たちは静まった街で数週間後の未来を注視している。

 

本誌が世に出る4月の末には,実際に感染の抑え込みができたかどうか,結果が見えつつあるだろう。ただ,もし狙い通りに感染者が減っていたとしても,事態は収束しない。緊急事態が解除され,人と人の接触が増えれば再び感染拡大が起きるのは必至だ。新型コロナウイルスとの闘いは長期戦になるというのが,感染症の専門家に共通した見方である。流行を終息させるにはワクチンか特効薬の開発しかなく,世界の製薬企業や研究機関が研究を急いでいる。

 

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

新型コロナウイルスCOVID-19SARS-CoV-2新興感染症