日経サイエンス  2020年5月号

特集:宇宙の化学進化

宇宙で最初にできた分子

R. C. フォーテンベリー(ミシシッピ大学)

地球上とは温度と圧力が大幅に異なる宇宙に存在する分子の多くはよく知られた分子とは異なり,未知の分子も存在している。近年の複数の画期的発見によって,宇宙の化学に関する考え方が変わりつつある。かねて存在が予測されていた水素化ヘリウムという分子(HeH+)がついに確認され,宇宙で最初にできた化合物だと考えられている。また,星間物質のスペクトルに見られる特徴「拡散星間バンド」が数十年来の謎だったが,これを生み出している複数の分子が見つかり始めた。
 

 
再録:別冊日経サイエンス241「巨大ブラックホール 宇宙と銀河の進化を探る」

著者

Ryan C. Fortenberry

ミシシッピ大学の物理化学の助教で,以前はNASAの科学者だった。量子化学のコンピューター計算モデルを用いて分子の光吸収を予測し,宇宙分子の検出に役立てようとしている。

原題名

First Molecule in the Universe((SCIENTIFIC AMERICAN February 2020)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

希ガス水素化ヘリウムイオン質量分析法供与結合共有結合惑星状星雲吸収特性分光法拡散星間バンド多環芳香族炭化水素フラーレンC60成層圏赤外線天文台SOFIA