日経サイエンス  2020年5月号

特集:新型コロナウイルス

コロナウイルスはどこから来たのか

S. メイキン(サイエンスライター)

「コロナウイルス」という言葉を今回初めて聞いた人も多いかもしれないが,実は軽いコロナウイルスなら,ほとんどの人が経験済みだ。通常の風邪の約1/5は,コロナウイルス4種のどれかが原因だ。だが20年前までは,ヒトに感染するコロナウイルスによる病気はごく軽く,さほど重要視されていなかった。

 

2003年,中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の病原体がコロナウイルスだと判明し,状況は一変した。あるコロナウイルスが動物(おそらくジャコウネコ)から種の壁を越えてヒトに感染するようになったのが,アウトブレイクの発端と考えられている。2012年には別のコロナウイルスがラクダからヒトに感染し,MERS(中東呼吸器症候群)を引き起こした。

 

だがコロナウイルスとはそもそも何なのか。いつ,どのようにヒトにやってきて,その感染力はどれくらいか。そして,軽い鼻風邪ですむか致死的な肺炎になるかの違いをもたらすのは何なのか。世界の保健衛生の脅威となった新型コロナウイルスが出現して以来,これらの疑問に答えるべく,分子生物学的な研究が進んでいる。
 
 

 

この続報は4月25日発売の2020年6月号

緊急解説:新型コロナウイルス感染症 COVID-19」でご紹介しています。

 

再録 別冊日経サイエンス238「感染症 ウイルス・細菌との闘い」

著者

Simon Makin

ロンドンに拠点を置くフリーランスのサイエンスライター。

原題名

How Coronaviruses Cause Infection(scientificamerican.com, February 5, 2020)

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