日経サイエンス  2020年4月号

特集:時間結晶

編集部

 液体を冷やしていくと,原子などが一定間隔で自ら周期的に並び結晶となる。ノーベル賞物理学者のウィルチェックは「空間と時間は同等である」というアインシュタインの相対性理論をヒントに,同じようなことが時間方向でも起きるのではないかと考えた。そしてそこから,何もしなくても物理的な性質が一定の時間間隔で周期的な変化を繰り返す「時間結晶」という新たな状態を提唱した。この提唱は研究者の好奇心をかき立て,さまざまな議論を呼んだが,日本の研究グループが平衡状態では実現しえないことを証明。その後,研究の焦点は非平衡の時間結晶に移ったが,そこには意外な特徴が見えてきた。
 
 
ひとりでに時を刻む物質  F. ウィルチェック
時間結晶を巡る論争  古田彩 協力:渡辺悠樹