
脳という“物質”から知性や意識がどのように生まれるのか? 個別のニューロンや脳領域の活動をかなり詳しく調べられるようになった現在も,大きな謎だ。この謎の解明に挑むべく,「ネットワーク神経科学」という新たな学問分野が生まれた。視覚や注意,運動制御などの認知活動を可能にしている脳領域間の結合をモデル化し,脳を大きなネットワークとしてとらえることで,物質と精神の間の隔たりをつなぐ。脳全体の神経配線を特定する「コネクトーム」と呼ばれるこのアプローチは,人間と同レベルの人工知能が将来に実現したとして,それが果たして意識を持つのかという疑問に答えを出す糸口にもなりそうだ。
M. ベルトレロ/D. S. バセット
機械は意識を持ちうるか C. コッホ