日経サイエンス  2020年3月号

特集:『三体』の科学

三体問題に進展 周期解に新たな予想

R. モンゴメリー(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)

SF小説『三体』に出てくる三体星の歴史においては,ある日突然激しい天変地異が起き,それまでに築かれていた文明が滅亡して,再びゼロから始まることになる。それというのも,この世界には太陽が3つあり,それらが予測不能な極めて複雑な動きをして,地上に激しい温度変化をもたらすためだ。3つの物体が互いに引力を及ぼし合いながら動くとき,どんな運動が生まれるのか。それは数学的な解析解が得られない「三体問題」という難問として知られている。

数学者のリチャード・モンゴメリーは,三体問題の複雑な解の性質を明らかにするため,長年,次の問題に着目して研究を進めてきた。

「どのような周期的な食の列を取っても,それは平面における三体問題の,
ある周期解の食の列になっているのだろうか?」

この問題は最近,完全にではないものの,概ね解決した。その経緯について,モンゴメリー自身が解説する。翻訳は数学者の柴山允瑠・京都大学准教授。

再録:別冊日経サイエンス254『SFを科学する 研究者が語る空想世界』

著者

Richard Montgomery

カリフォルニア大学サンタクルーズ校の数学の特別教授。N体問題やサブ・リーマン幾何学を中心に研究している。

原題名

The Three-Body Problem

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