日経サイエンス  2020年2月号

nippon天文遺産 第26回

臨時緯度観測所本館と眼視天頂儀(下)

中島林彦(日本経済新聞) 協力:渡部潤一/亀谷 收(ともに国立天文台) 大江昌嗣(イーハトーブ宇宙実践センター・国立天文台)

岩手県奥州市水沢にはZホール(文化会館)とZアリーナ(総合体育館)という愛称の公共施設がある。コミュニティバスの愛称はZバス,青少年が対象の宇宙少年団の支部名は水沢Z分団だ。Zを校章にあしらった小学校と工業高校もある。Zの由来は100年以上前の明治時代,現在の国立天文台水沢キャンパスの母体である「臨時緯度観測所」の若き所長だった木村榮(ひさし)が発見した「Z項」による。日本の近代天文学の黎明期の大成果であるZ項発見にまつわる天体望遠鏡や建屋は水沢の地で保存・展示され,地元の人々に親しまれている。(文中敬称略)



再録:別冊日経サイエンス245「天文遺産 宇宙を拓いた日本の天文学者たち」

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