
岐阜県の神岡鉱山の地下で建設が進んでいた重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の準備が整い,間もなく運用が始まる。米欧の既存3基に加えた4基体制になることで,重力波の発生源となった天体の特定などが大きく前進するだろう。この種の装置としては初めて地下に建造され,感度を高めるために極低温に保たれている。より進んだ次世代の重力波検出器に欠かせない新技術だ。重力波の観測はブラックホールや中性子星の衝突・合体など重力の極端に大きな天体に関する物理や,その過程における重元素の生成に新たな知見をもたらし,宇宙物理学に革命を起こしつつある。重力波天文学の新時代を告げるKAGRAの姿をリポート。
アジア圏の観測拠点の役割担う 中島林彦
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原題名
Center of Gravity(SCIENTIFIC AMERICAN November 2019)