日経サイエンス  2020年2月号

重力波望遠鏡KAGRA始動

L. ビリングズ(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)

岐阜県の神岡鉱山の地下で建設が進んでいた重力波望遠鏡KAGRA(かぐら)の準備が整い,間もなく運用が始まる。米欧の既存3基に加えた4基体制になることで,重力波の発生源となった天体の特定などが大きく前進するだろう。この種の装置としては初めて地下に建造され,感度を高めるために極低温に保たれている。より進んだ次世代の重力波検出器に欠かせない新技術だ。重力波の観測はブラックホールや中性子星の衝突・合体など重力の極端に大きな天体に関する物理や,その過程における重元素の生成に新たな知見をもたらし,宇宙物理学に革命を起こしつつある。重力波天文学の新時代を告げるKAGRAの姿をリポート。

 

 

アジア圏の観測拠点の役割担う  中島林彦

関連記事
2018年1月号「重力波の本命 連星中性子星合体を観測」,中島林彦。
2016年5月号「GW150914の衝撃」,中島林彦。

原題名

Center of Gravity(SCIENTIFIC AMERICAN November 2019)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

KAGRALIGOVirgoレーザー干渉法