
肥満の原因をめぐっては,脂肪や炭水化物など特定の栄養素に注目するなど,さまざまな説がある。まだ予備実験の段階ではあるが,最近,新しい仮説が登場した。特定の栄養素ではなく,食品の加工程度の違いに注目するものだ。調味料や人工甘味料などが加えられ,袋を開ければすぐに食べられるようになった「超加工食品」は,肉や卵,バターといった未加工食品よりも食べ過ぎを引き起こしやすいというのだ。
著者
Ellen Ruppel Shel
ボストン大学の科学ジャーナリズム教授で,「The Job: Work and Its Future in a Time of Radical Change」(Crown Publishing,2018年)の著者。頻繁に医療問題について書いており,『太りゆく人類――肥満遺伝子と過食社会』(邦訳は早川書房,2003年)を著した。
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「食欲の暴走 なぜ食べるのをやめられないのか」,P. J. ケニー,日経サイエンス2013年12月号。
原題名
Obesity on the Brain(SCIENTIFIC AMERICAN October 2019)