
数学が扱っている対象は実在するのか,それとも純然たる想像の産物なのか? この問題について,数学者は2つの相容れない見方を同時に抱くことが多い。例えば素数は互いに驚くべき関係を持っており,現在も新たな関係性の発見が続いている。そうした予想外の眺望を探る余地があるということは,数学が扱う対象が人間とは独立に存在しているという考え方を支持する。しかし数学の対象が実在であるなら,誰もそれを見ることも触ることもできないのはなぜなのか? 数学者はこうした疑問から,数学的対象の世界は実は作り事であるという見方を受け入れることにもなる。
著者
Kelsey Houston-Edwards
オーリン工科大学の数学の助教。公共放送サービス(PBS)のネット配信番組PBS Infinite Seriesの数学番組を制作したほか,科学サイトNOVA Nextで米国科学振興協会(AAAS)マスメディアフェローを務めた。
原題名
Numbers Game(SCIENTIFIC AMERICAN September 2019)
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公理/ゲーデルの不完全性定理/ツェルメロ=フレンケルの公理系/選択公理/バナッハ=タルスキーのパラドックス/ゴールドバッハ予想/オイラーの等式/数学的実在論/反実在論/形式主義/フィクショナリズム