日経サイエンス  2019年11月号

特集:北極融解

氷が消える海

変化の姿

中島林彦(日本経済新聞) 協力:菊地隆(海洋研究開発機構)

北極海では気温が上がると海氷が減り,海氷が減るとさらに気温が上がるフィードバック機構により,海氷減少と気温の急上昇が続いている。今後,地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出を一切やめたとしても,海氷減少は止まらず,今世紀後半には夏場の北極海から海氷がほとんどなくなる可能性がある。海氷減少と気温の急上昇により,北極海では淡水化と酸性化,低気圧活動の活発化など様々な環境変化が生じ,生態系に大きな影響を及ぼしている。

 

 

変化の姿  M. フィシェッティ(SCIENTIFIC AMERICAN編集部)
 

 
再録:別冊日経サイエンス240「気候大異変 いま地球で何が起こっているのか」

著者

中島林彦(なかじま・しげひこ) / 協力 菊地隆(きくち・たかし)

中島は日本経済新聞記者。菊地は海洋研究開発機構北極環境変動総合研究センターのセンター長。北極海の海洋環境変動の実態把握と,その気候システムや生態系への影響評価にかかわる研究と開発に取り組んでいる。2000年代以降,日本人で北極に行った回数では3本の指に入ると自負する。「北極ってどんな海だろう。何が起きているのだろう,と調べているうちに,気がついたら,社会的使命の非常に大きな仕事に携わることになっていた」と語る。

原題名

Land of Change(SCIENTIFIC AMERICAN August 2019)

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