日経サイエンス  2019年11月号

特別リポート:生殖医療の現在

卵子を急速凍結するガラス化法の開発や体外受精技術などの進歩に伴い,将来のために卵子を凍結する女性が増えている。米国では卵子凍結専門クリニックも登場し,卵子凍結を奨励している。だが,卵子を凍結しても無事出産にこぎ着けられる保証はまだない。凍結卵子は「ベビーではなく,ベビーの可能性だ」と専門家は言う。一方,月経を巡る昔ながらのタブーのために女性周期に関する研究は立ち後れ,女性の健康に深刻な影響を及ぼしている。なぜ人間は月経というハイコストな仕組みを進化させたのか。かつては女性が経験する月経の回数がはるかに少なかったことと関係があるのかもしれない。

卵子凍結ブームの死角  L. マンディ
抜け落ちた視点 月経の科学的解明  V. ソール=スミス
国際比較:妊産婦死亡率  M. R. マクレモア

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