日経サイエンス  2019年10月号

特集:『天気の子』の空

雲研究者に聞く 映画に描かれた東京の異常気象

中島林彦(日本経済新聞) 協力:荒木健太郎(気象庁気象研究所)

アニメーション監督,新海誠の新作『天気の子』で描かれるのは,未曾有の長雨という異常気象に見舞われた東京。新海監督は雲や雨,空の繊細な描写で定評があるが,今作では,雲研究者として知られる気象庁気象研究所の荒木健太郎博士が協力,気象にリアリティが増し,作品世界を支えている。異常気象は天災だが,地球温暖化の影響を考えれば人災でもある。『天気の子』は,この問題を私たちが我が身に引きつけて考える契機になる。

再録:別冊日経サイエンス254『SFを科学する 研究者が語る空想世界』

著者

中島林彦 / 協力:荒木健太郎

中島は日本経済新聞記者。荒木は気象庁気象研究所研究官,雲研究者。博士(学術)。1984年生まれ,茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために,気象災害をもたらす雲の仕組みや,雲の物理学の研究に取り組んでいる。『雲の中では何が起こっているのか』『せきらんうんのいっしょう』『世界でいちばん素敵な雲の教室』『雲を愛する技術』など著書多数。

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