日経サイエンス  2019年8月号

特集:アポロから半世紀 人類,月へ

アポロの収穫 月の石が語る太陽系の黎明期

E. ジャウィン(米国立自然史博物館)

アポロ計画は月面に人間の足跡を刻んだ点で最も名高いが,最大の科学的遺産は宇宙飛行士たちが持ち帰った一連の岩石だ。これら382kgの石とレゴリス(月や他の惑星状天体の表面を厚く覆っている石屑や塵)を単に貴重なお宝と呼ぶのは,その真価に見合っていない。これらを地上の実験室で調べたことによって近代的な惑星科学が確立し,すべての惑星状天体で働いている地質学的プロセスについて非常に重要な知見が得られた。とりわけ,3つの大きな分野に関する私たちの理解を革新した。月面の性質,月の起源,そして太陽系の進化だ。

著者

Erica Jawin

米国立自然史博物館の地質学のポスドク研究員。

原題名

Apollo’s Bounty(SCIENTIFIC AMERICAN July 2019)

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