日経サイエンス  2019年5月号

nippon天文遺産 第22回

6mミリ波望遠鏡

中島林彦(日本経済新聞) 協力:渡部潤一/林 左絵子(ともに国立天文台)

電波天文学は第二次世界大戦後に大発展した。1940年代後半の揺籃期,敗戦で荒廃した日本でも太陽の電波観測が始まった。だが,遠くの恒星や星雲からの微弱な宇宙電波の観測は,国力の違いがあり,欧米に約20年遅れで本格参入することになった。後発の日本が欧米に肩を並べる成果を上げるにはどうすればよいか? 1960年代後半,議論が戦わされ,当時,フロンティアとして注目され始めた波長数mmの電波,「ミリ波」の観測に活路が見いだされた。そして実現した初の宇宙電波専用の望遠鏡が口径6mのおわん形アンテナを備えた「6mミリ波望遠鏡」だった。 (文中敬称略)



再録:別冊日経サイエンス245「天文遺産 宇宙を拓いた日本の天文学者たち」

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