日経サイエンス  2019年5月号

特集:格差を科学する

仕組まれた経済 格差拡大の理由

J. E. スティグリッツ(コロンビア大学)

米国の経済格差は特に大きく,先進諸国のなかで実質的に最大だ。以前からの格差に加え,米国の政治システムによって富裕層が政治的影響力を得て自分たちに有利なように法律を変え,不平等を拡大している。政治におけるカネの力を抑えてこのフィードバックを断ち切ることが,格差を縮小して希望を取り戻すのに必要不可欠だ。



再録:別冊日経サイエンス249「科学がとらえた格差と分断 持続可能な社会への処方箋」
再録:別冊日経サイエンス236「心と行動の科学」

著者

Joseph E. Stiglitz

コロンビア大学教授で, シンクタンク「ルーズベルト研究所」の首席エコノミスト。2001年にノーベル経済学賞を受賞。クリントン政権下の1995~1997年に大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長を,1997~2000年に世界銀行の首席エコノミストと副総裁を,2008年には国連の「国際通貨金融システム改革についての専門家委員会」の委員長を務めた。近著は「Globalization and Its Discontents Revisited」(2017年)。

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人類を追い詰める格差社会」,A. ディートン,日経サイエンス2016年12月号。

原題名

A Rigged Economy(SCIENTIFIC AMERICAN November 2018)

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