日経サイエンス  2019年5月号

特集:宇宙の暗黒問題

変容する暗黒エネルギー 超弦理論が示す新たな予想

中島林彦(日本経済新聞) 協力:大栗博司(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構/カリフォルニア工科大学) 村山斉(東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構/カリフォルニア大学バークレー校)

宇宙の加速膨張をもたらす暗黒エネルギーはエネルギー密度が時間変化しないアインシュタインの「宇宙項」のような存在だと考えられている。ところが超弦理論の研究から,暗黒エネルギーの密度は時間変化するとの予想が得られ,賛否両論を巻き起こしている。現在,すばる望遠鏡を使って暗黒エネルギーの正体を探る広域の宇宙観測プロジェクトが進んでおり,近い将来,理論予想が正しいのかどうか判明する可能性がある。

著者

中島林彦 / 協力:大栗博司 / 村山斉

中島は日本経済新聞記者。大栗は東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)機構長。カリフォルニア工科大学カブリ冠教授と同大学ウォルター・バーク理論物理学研究所所長,アスペン物理学センター所長も務める。専門は素粒子論で主に超弦理論を研究している。村山は米カリフォルニア大学バークレー校マックアダムス冠教授。カブリIPMUを2007年に創設,昨年10月半ばまで初代機構長を務め,現在は主任研究者。専門は素粒子理論で,超対称性の自発的破れの研究やニュートリノの研究などで知られる。

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