
インドでは古代から原始林の一部を地元民が神々の住みかとして保護してきた。そうした「聖なる森」は植民地時代の資源採取によって荒廃したが,まだ多数が残っており,新設される例もある。地域社会に生態学的利益をもたらすことが再評価されているからだ。自然の恵みとともに生きる人々に地元の環境を守る権限を与えることが,自然保護のカギだ。
再録:別冊日経サイエンス253『世界の現場から 実践SDGs 格差・環境・食糧問題の現実解』
著者
Madhav Gadgil
生態学者で,インド理科大学院(バンガロール)にある生態科学センターの創設者。彼の研究はニルギリ丘陵にインド初の生物圏保護区を設置するのに寄与した。タイラー賞やパドマ・ブーシャン勲章など多くの賞を受けている。
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「絶滅のホットスポットを救え」, S. L. ピム,日経サイエンス2005年12月号。
原題名
Sacred Groves(SCIENTIFIC AMERICAN December 2018)