日経サイエンス  2019年3月号

特集:太陽

定家が見た赤いオーロラ 古文書が語る太陽の激動

中島林彦(日本経済新聞) 協力:片岡龍峰(国立極地研究所)

歌人,藤原定家が残した日記,『明月記』などから京都や名古屋などの夜空が赤く染まったことが過去に何度もあったことがわかってきた。その正体はオーロラ。日本など中緯度域にオーロラをもたらす巨大な磁気嵐は現代文明にとって大きな脅威になっている。 磁気嵐は太陽磁場の活動がおおもとにあるが,巨大磁気嵐をもたらす極端に激しい活動はめったに起きない。古文書に見られるオーロラの記述を手がかりにすれば,1000年以上の長期での巨大磁気嵐の発生状況を探ることができ,その理解が深まる。

著者

中島林彦 / 協力:片岡龍峰

中島は日本経済新聞記者。片岡は国立極地研究所准教授。専門は宇宙空間物理学,特にオーロラに興味がある。現在はオーロラに加えて隕石や雷などについても古典籍や古記録を使った調査・研究を展開している。近著に『太陽フレアと宇宙災害』(NHK出版)がある。

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