
感染者をほぼ100%死に至らせる狂犬病ウイルス。このウイルスはニューロンからニューロンへと跳び移る能力を持ち,咬傷部から感染動物の脳に移動する。神経科学者はいま,狂犬病ウイルスのこの能力を利用・改良してニューロン間の接続を可視化している。恐ろしいウイルスが神経科学の有用なツールとして利用されているのだ。
英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのセインズベリー・ウェルカム神経回路・行動研究センターの神経科学者。彼の研究チームは脳の神経回路が運動を生み出す仕組みを研究している。
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「思考をつかさどる陰の立役者 グリア細胞」,R. D. フィールズ,日経サイエンス2004年7月号。
原題名
Rabies on the Brain(SCIENTIFIC AMERICAN October 2018)