日経サイエンス  2019年2月号

特集:量子もつれ実証

「君は,君が見上げているときだけ月が存在していると本当に信じるのか?」 かつてアインシュタインはこう言って,量子論に不満を示した。我々が測定する・しないにかかわらず,物体は一定の性質を備えていて,測ればわかる客観的な値を持っている。我々は自然にそう信じているが,ミクロな世界を語る量子力学は,その常識を覆す。半世紀前,物理学者のジョン・ベルは,量子力学がもたらした新たな世界観が本物かどうかを実験で検証する方法を見いだした。このほど欧米の4グループがその実験をほぼ完全な形でやり遂げ,この問題に最終決着をつけた。

 

 
最終決着「ベルの不等式」の破れの実験  R. ハンソン/K. シャルム
アインシュタインの夢 ついえる 測っていない値は実在しない  谷村省吾