
2018年は4月に島根県西部地震が起き,6月に大阪北部地震,9月には北海道胆振東部地震と,被害をもたらす内陸地震が相次いだ。西日本沖の南海トラフと北海道沖の千島海溝では,東日本大震災を引き起こした日本海溝での超巨大地震と同規模の地震が起こる可能性があり,これら一連の内陸地震は,こうした超巨大地震に至る地下の広域変動の一環なのかもしれない。日本海溝の超巨大地震では先行現象として地殻変動が観測されていたが,震源域周辺の大気層でも異常が捉えられていた。大気中に微量に存在する放射性元素ラドンの濃度が地震発生数カ月前から大きく変動し始め,電離層の電子密度の変動が地震発生直前の約40分前から起き始めていた。将来は,こうした大気層の異常変動からも,超巨大地震の発生を注意喚起できるようになるかもしれない。
北海道胆振東部・大阪北部地震が示すシナリオ
中島林彦 協力:西村卓也/北 佐枝子/高橋雅紀
大気中ラドンが示す地下の異変 中島林彦 協力:長濱裕幸
大地震直前に観測された電離層の変化 E. バンス