日経サイエンス  2018年11月号

薬の効き目を左右する細胞内時計

V. グリーンウッド(サイエンスライター)

哺乳類の遺伝子の82%は1日の間に発現が周期的に増減すると推定されている。つまり,生物学には時間的側面がある。

この事実は医療にとって大きな意味がある。最も広く使われている100種類の薬のうち56種類が発現リズムのあるタンパク質を標的にしている。つまり,投薬時刻が薬の有効性にとって重要だということだ。

安全性と有効性を最大化することを目指し,がんや関節リウマチなどで投薬の時間帯を調整する試みが進んでいる。「時間医学」という新分野だ。

続き日経サイエンス2018年11月号にて
再録:別冊日経サイエンス256『生命科学の最前線 分子医学で病気を制す』

著者

Veronique Greenwood

サイエンスライター兼エッセイスト。New York Times紙,Atlantic誌,National Geographic誌などに寄稿している。

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「体のあちこちで働く末梢時計」,K. C. スンマ/F. W. テュレック,2015年5月号

原題名

The Clocks within Our Cells(SCIENTIFIC AMERICAN July 2018)

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