日経サイエンス  2018年11月号

特集:皮膚から生命

編集部

マウスの皮膚から採取した細胞でiPS細胞を作製し,そこから卵子を作り出す実験に,九州大学の研究チームが成功した。得られた卵子を精子と受精させて雌マウスの子宮に移植したところ,8匹の子マウスが誕生。受精卵を使わず皮膚の細胞から次世代の生命を生み出すことが,少なくともマウスでは可能になった。iPS細胞から生命を作り出す技術は,絶滅した動物の再生にも活用できると期待されている。今年3月に最後の雄が死亡し絶滅が確定したキタシロサイについても,複数のグループがiPS細胞を作製し保管している。生物学者らは再生の具体的な方法について議論を始めた。だがその詳細を見ていくと,実現は容易ではなさそうだ。
 
 

IMAGE:九州大学・林克彦教授提供

iPSで生まれたマウス  K. ワイントラウブ

シロサイ再生計画の成算  詫摩雅子