日経サイエンス  2018年10月号

愛着の心理学

F. ルッソ(ジャーナリスト)

人間は社会的動物だ。私たちが精神的に安心するには,強い自我と他者との関係における自信が必要だ。

大切な人への愛着が不安定な場合,生命のない所有物に深い意味や人間らしい特性を与えて,その空白を埋めようとすることがある。

物理的接触を通じて自分のエッセンスが所有物に吹き込まれるとともに,他者の所有物に触れるとその人のエッセンスを取り込むことになると信じている人もいるようだ。

大切な所有物の擬人化は正常なことだ。だが,溜め込みという病的な状態になることもある。

再録:別冊日経サイエンス259『新版 認知科学で探る心の成長と発達』

著者

Francine Russo

心理学と行動学を専門とするベテランのジャーナリスト。著書に「They’re Your Parents, Too! How Siblings Can Survive Their Parents’ Aging Without Driving Each Other Crazy」(Bantam,2010 年)がある。

原題名

Our Stuff, Ourselves(SCIENTIFIC AMERICAN May 2018)

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