日経サイエンス  2018年10月号

巨大ブラックホール 爆誕の謎

浮上した直接崩壊シナリオ

P. ナタラジャン(エール大学)

誕生から10億年以内の宇宙に約10億太陽質量のブラックホールが存在していたことが観測から明らかになっている。従来のブラックホール形成シナリオ,つまり大質量星の死を出発点とするシナリオでは,観測されているような巨大ブラックホールを10億年よりも短期間に形成することは不可能だ。宇宙初期の巨大ブラックホールはどうやって形成されたのだろう。著者たちはブラックホール形成の新しいシナリオを提案している。巨大ブラックホールのタネが,星の誕生と死を経ずに,ガス円盤から直接形成されたというものだ。
 

 
再録:別冊日経サイエンス241「巨大ブラックホール 宇宙と銀河の進化を探る」

著者

Priyamvada Natarajan

エール大学の理論宇宙物理学者。専門は宇宙論と重力レンズ効果,ブラックホール物理学。

関連記事
ブラックホールで一般相対論を検証」,D. サルティス/S. S. ドールマン,2015年12月号。

原題名

The First Monster Black Holes(SCIENTIFIC AMERICAN February 2018)

サイト内の関連記事を読む

キーワードをGoogleで検索する

巨大ブラックホールクエーサー直接崩壊シナリオジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡