日経サイエンス  2018年9月号

nippon天文遺産 第18回

リーフラー時計

中島林彦(日本経済新聞) 協力:渡部潤一/中桐正夫(ともに国立天文台)

 国立天文台には身の丈ほどもある古風な振り子時計が3台,役目を終え眠りについている。ドイツのリーフラー社が製造したので「リーフラー時計」という。かつては,この時計の針の動きが日本の時刻のおおもと(日本標準時)だった。明治時代後期,リーフラー時計の時刻信号をもとに,正午を知らせる空砲が東京や大阪などで打たれた。大正時代末からはラジオ放送で時報が流され,全国の人々が柱時計や懐中時計を合わせていた。 (文中敬称略)



再録:別冊日経サイエンス245「天文遺産 宇宙を拓いた日本の天文学者たち」

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