日経サイエンス  2018年8月号

特集:エッシャーを超える

 20世紀に活躍したエッシャーは,見る者を不思議な気持ちにする作品群で知られる。実際にはあり得ないのにリアルな立体や,画面を隙間なく埋め尽くす鳥たちの絵は,多くの科学者を魅了してきた。数学者の杉原厚吉氏はエッシャーの不可能図形を立体化し,そこからヒントを得て,強烈なイリュージョンをもたらす新たな立体を作り出した。生物学者の近藤滋氏は,2次元と3次元を自在に行き来するエッシャーの技法を使って見事に擬態する自然界の芸術家たちを見いだした。エッシャーが生み出したトリックをさらに発展させた,新たなアートとイリュージョンの世界を紹介する。

 

脳を裏切る立体  杉原厚吉
2次元と3次元を旅する 自然界のエッシャーたち  近藤 滋
「メタモルフォーゼⅡ」を読み解く  中島林彦