日経サイエンス  2018年7月号

加速する北極融解

J. A. フランシス(ラトガーズ大学)

北極の気候が予想を上回るペースで温暖化している。夏場に消える海氷の量,冬場の海氷の減少,気温上昇,永久凍土や氷河の融解など,過去3年間で10件を超える記録が破られた。夏の北極海の氷は2040年までに消えそうで,10年少し前の予想に比べて60年も早まっている。この急速な温暖化がジェット気流と極渦を変化させた結果,世界規模で熱波や干ばつ,極度の低温,大雨が長引くようになっている。
 

 
再録:別冊日経サイエンス240「気候大異変 いま地球で何が起こっているのか」

著者

Jennifer A. Francis

1994年からラトガーズ大学の海洋・沿岸科学科の特任教授を務めている。専門は北極の気候変動と,世界の天気との関連。

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異常気象を招く 暴れるジェット気流」,J. マスターズ,2015年3月号

原題名

Meltdown(SCIENTIFIC AMERICAN April 2018)

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