
素粒子物理の枠組みである「標準モデル」は,粒子と反粒子の微妙な違いを説明する「小林・益川理論」と,万物に質量を与える「ヒッグス機構」の正しさが大型加速器を用いた実験で認められたことで最終的に確証された。しかし,標準モデルでは説明がつかない部分も多いため,世界各国で標準モデルを超える理論の探索が本格化している。中でも注目度が高いのは,ヒッグス機構を検証した加速器LHCを使ったLHCb実験だ。ビューティークォークを含むB中間子の崩壊の観測から,ポスト標準モデルにつながる可能性がある手がかりが得られた。そのライバル実験となるのが,小林・益川理論を検証したKEKB加速器の後継であるスーパーKEKBを用いたBelleⅡ実験で,近く本格稼働する見通しだ。
ビューティー粒子の崩壊を追え G. ウィルキンソン
スーパーKEKB始動 中島林彦 協力:後田 裕